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20 10 41 (syojin) 初人ういうい s 20 10 42 (syojin) 1 三 橙 28 20 10 42 (syojin) 2 中 文 36 20 10 42 (syojin) 3 二 初人 07 20 10 42 (syojin) 4 右 レミリア 03 20 10 42 (syojin) 5 左 フランドール 99 20 10 44 (syojin) 6 遊 咲夜 39 20 10 46 (syojin) 7 一 ちゆり 54 20 10 48 (syojin) 8 捕 輝夜 98 20 10 50 (syojin) 9 投 幽香 14 20 10 53 (syojin) 投手 20 10 54 (syojin) 秋静葉 さとり 秋穣子 アリス 蓮子 メリー ミスティア リリー 八雲紫 20 10 57 (syojin) 野手 20 10 59 (syojin) 雛 八雲藍 ヤマメ 鈴仙 にとり リグル キスメ 20 11 01 (syojin) オフ 20 11 03 (syojin) 永琳 霊夢 メルラン
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import pandas as pd import numpy as np s1 = pd.Series(np.random.randn(10)) s2 = pd.Series(np.random.randn(10)) print (s1.cov(s2))
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とある少女のういういdays 【本文】 ― 1 ― ― 2 ― ― 3 ― ― 4 ― ― 5 ― ― 6 ― ― 7 ― 【著者】 ほのラブ同盟(7-245)氏 【初出】 2010/04/06 初投稿 【最終スレ投下日】 2010/05/02
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays ―――とある寮の一室 「当麻ー、運ぶの手伝ってー」 台所から美琴の声がする。 ぼんやりとベッドに腰掛け、天気予報のキャスターが昨日からの雨は明日まで続くぞー冷え込むぞー寒いぞー、なんて言ってるのを見ていた上条は、はいよー、と美琴のもとへ向かった。 「じゃーん、今晩はオムライス♪」 暖かみのあるベージュのエプロン姿で皿を差し出す美琴の姿に、上条は鼓動が高まるのを感じる。 見慣れた姿ではあるが、だからと言って愛しい、という気持ちが減る理由にはならない。 「ありがとな」 「ふふっ、どう致しまして」 いつものやりとり。 それだけで、心をくすぐられるような幸福感で胸がいっぱいになる。 「あれ、お前あんまり食べないのか?」 夕飯を食べ終えた上条が隣りを見ると、美琴のオムライスは半分も減っていない。 「んー…あんまり食欲がね」 「大丈夫か?…ってお前、熱あるんじゃないか!?」 よく見ると、困った表情を浮かべている美琴の顔はほんのりと赤くなっている。 上条は自分の右手を美琴の額にあてる。 「…熱あるな。風邪か?」 「大丈夫よー。別にこれくらいちょっと寝れば…くしゅん!」 「ほれみろ。お前、朝は大丈夫だったのか?」 「うー…まぁ、少し…」 「ったく…無理するなよ。うちに来てる場合じゃないだろ」 口調は軽いが、上条は心の中で自分を責めていた。 朝から調子が悪い美琴に気付かなかったし、それが悪化したのは、恐らく美琴が自分の家に来てくれたからだ。 しかも、冷たい雨の中。 「はぁ…」 上条は一つため息をつき、美琴、と恋人の名前を呼んだ。 「なぁに?」 「泊まってくか?」 ぱちくりと目をしばたたかせる美琴。 しばらくの間上条を見つめ――― 「いいの?」 「この寒い中を歩いて帰ったら、なおさら悪くなるだろ」 ぱちくりしていた目を軽く閉じ、美琴は上条の腰へ手を回し、身体を預けた。 急な重みに、上条は驚きながらもしっかりと受け止め、思ったより細く軽い少女を優しく抱き締めた。 「うれしいな」 上条の腕に包まれながら美琴が歌うように言葉を紡ぐ。 「初めてのお泊まりだ」 ベッドに美琴を寝かせ、上条はそのベッドの脇に腰を下ろしていた。 美琴の額には古くより伝わる対風邪っぴきアイテム、濡れタオルがおいてある。 横になっただけでも少し楽になったようだが、相変わらず顔は赤く染まっている。 なのに――― 「えへへ~」 熱のためか少しうるんだ目は、しかし喜びの感情を表しているように見えた。 掛け布団を口許にまで上げて、上条を柔らかい表情で見つめている。 「当麻といっしょ~」 上目遣いで甘えてくる美琴にどきっとした恥ずかしさから、上条は目を逸らしてしまう。 「病人はさっさと寝ろ」 自分の動揺をごまかすかのように、手元にあったクッションを軽く投げ付ける。 しかし、クッションが埃っぽかったのか、美琴がごほんごほんと咳き込んでしまった。 「―!?美琴、すまん!大丈夫か!?」 慌てて謝ると、美琴はぜいぜいとした息をして、何かを言おうとしていた。 水が飲みたいのか、病人相手に申し訳ないことをしてしまった、と上条は美琴の言葉がよく聞こえるように耳を寄せた。 ―――ちゅっ 上条の頬に柔らかな感触が残る。 数秒の思考停止を経て、ハッとした上条が美琴の顔を見る。 「―――おかえし」 熱が、頬から全身へ広がっていった。 とある少女のういういdays2―つづく?― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays ―――とある空港の一角 3番ゲートと書かれた出口から、多くの人が出て来る。 電光掲示板にはイギリス発、学園都市着という表示。 その人の流れに合わせて、視線を左右させている少女がいた。 5分ほどそうさせていたが、お目当ての人物が見つかったらしく、たたた…と小走りでその場を離れた。 「おかえり!」 「ただいま、1週間ぶりだな」 インデックスを交えた宗教サイドの首脳会議―――という名のパーティで上条は1週間学園都市を離れていた。 「どうだったの、首脳会議は」 「首脳…会議なぁ…」 そうやって思い返す上条の脳内ではインデックスが食べ物をねだったり、インデックスが頭に噛み付いたり、インデックスが食べ物を求めてさまよったり、インデックスが頭に噛み付いたり…と、まぁ、美琴には説明しがたい映像がフラッシュバックしていた。 そんな表情を見て、美琴は何かを読み取ったようだ。 「まぁ…なんとなく分かった気がするわ」 「う…そこはかとなく馬鹿にされた気がするぞ」 「まったく、そういうとこは敏感なのねー」 「そういうとこ『は』って何だ、っていうかやっぱり馬鹿にされていたのですねカミジョーさんは」 「あ、分かったー?」 「ったく、久し振りに会ったのにこれかよ」 「まぁ、10年ぶりの再会!とかじゃないからね。そうそう変わらないわよ」 「じゃあ、1週間ぶりですがいつもの通りということで、今日のお夕飯は期待してよろしいんでしょうか?」 「ちゃーんと、材料買っておいたわよ。まっかせなさい」 常磐台のエースが胸をどんと叩いた。 さすが7人しかいない学園都市のレベル5、どんなときも頼もしいものだ。 ―――とある学生寮の一室 ドアを開けると、懐かしい匂いがする。 美琴はああ言っていたが、1週間は短いようで、長い。 よう、久し振りだな、なんて言いたいような気持ちが湧いてくる。 「ただいま、っと」 「おかえり~」 ひょい、と先に部屋へと上がり、くるりと身をひるがえして美琴が言う。 「俺の家だけどな。あれ、意外と綺麗…もしかして掃除しててくれた?」 「まぁね。家庭的な彼女に感謝しなさい」 ははーお代官様、と頭を下げる上条。 「気持ちこもってないでしょ」 といわゆるジト目をする美琴。 「そんなことないって」 「そうですか~?」 むー、とふくれる美琴にそうですよ、と答えながら、上条は荷物をどんと部屋の床に置いた。 あまり重くはないが、それでも背負い続けると肩に食い込んで負担になっていたようで、思わずふーっとため息が出た。 そんな一連の動作を終え、ふと美琴を見ると、こちらを見つめるように視線を止めていた。 「ん?」 そんな反応には答えず、美琴はくるくると上条の回りでステップを踏む。 今度は目線が上下している。 どうやら周囲から上条のことを見ているようだ。 「どうした?」 服装変ですか、いつもの学生服ですが、と上条は思う。 すると、 「えへへ」 と、美琴の茶色い髪がぽふっと胸にうずまった。 と、同時に、ふわっとした匂いが上条の鼻をくすぐる。 「当麻がいる~」 そう言って頭をすりつける美琴はリスやハムスター系の小動物のようだ。 「当たり前だろ、帰ってきたんだから」 「ふふっ、だって嬉しいんだもん」 照れを隠すようにぶっきらぼうな言い方をした上条は、くしゃくしゃと頭をなでる。 その間も美琴は、頭を上条の胸にうずめ、時折上条の顔を見上げてにっこりと満足気に笑うのであった。 「ごちそうさま」 「お粗末さまでした」 二人並んでひょこりと頭を下げる。 久し振りの美琴の手料理を味わった。 いつもの味わいに、あぁ、帰ってきたんだと安心しつつ、段々と自分が美琴の色に染まっていくのを喜ばしく感じる。 「美琴、何時くらいまでいる?門限あるだろ」 時計を見ると、完全下校時刻を過ぎ、門限までもあまり時間がない。 寮の同居人が力を貸してくれるとはいえ、あまり遅くなるのは気が引ける。 それに彼女は、(理由は明白ながら)門限破りの常習犯となりつつある。 「うーん…あと1時間くらいかな」 上条の肩に頭をもたれていた美琴は、体を曲げて上条の前に来た。 そして、上条の顔を伏し目がちに見てしゅんとした顔をした。 「…バイバイ」 「ん?あと1時間いるんだろ?」 「うん…そうだけど…」 ほんの少しだけ、上目遣いになる。 「バイバイの練習しなきゃ、本当にバイバイできない」 上条は一瞬、美琴のうるんだ瞳に自分が映っているような気がした。 「ばか、明日も会えるよ」 「知ってる。それでも寂しいの」 美琴は言い返しながら、当麻は一週間みんなと一緒だったけどさ、なんて思う。 自分も上条がいない間に親友たちと会ったりしたが、それはそれだ。 「分かってるよ」 上条は、そんな美琴の想いを受け止めたかのように、優しい声で答える。 「分からないでしょー、みんなと一緒だったんだから」 それでもやっぱり寂しい気持ちを伝えたいのだ、と美琴は思う。 会えなかった1週間分のひとり占めには、まだ足りない。 「分かってるって」 「私はずっと自分の半分が無くなっちゃったみたいで…」 「分かってるよ」 美琴の視界が、めいっぱい近付いた上条でいっぱいになった。 「俺も一緒だったんだから」 「…ずるい」 何も言えなくなる。 突然のくちづけの余韻が残る唇を指でそっとなで、身体中が熱を帯びるのを意識する。 普段は自分の気持ちにちっとも気付かないくせに。 思い通りの恋にならない。 「―――好き」 なのに、離れられない。 きっと。 きっと。 ずっと。 とある少女のういういdays―つづく?― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays ―――とある寮の一室 ある晴れた昼下がり。 ぽかぽか陽気のただよう午後、今日は休日であるため、上条と美琴は昼食を一緒にとっていた。 今日のメニューはカルボナーラスパゲティ。 もちろん、『美琴さんお手製の』と頭につく代物だ。 「ご馳走さま」 「お粗末さま」 「今日も美味しかったよ、美琴」 「ふふーん、当たり前じゃない。料理は愛情だもの」 「なるほど。そりゃ旨いわけですね、っと」 上条は立ち上がると、美琴の分の皿も重ね、台所へ運んでいった。 いつからか、美琴が料理、上条が片付け、というルールが二人の間で出来上がっていた。 美琴は、カチャカチャと洗い物の音が聞こえてくる台所の方を眺めながら、自然と二人だけのルールが決まっていくことに小さな幸せを感じていた。 こうしていつの間にか、自分たちの生活が築き上げられていくのだ。 二人の関係にどこか永遠めいたものを感じ、美琴はいつの間にか優しい笑みを浮かべていた。 「どうした、美琴。何かいいことあったのか?」 洗い物を終えた上条が部屋に戻ってきた。 美琴のすぐ隣りに腰を下ろし、肩をぴと…っとくっつける。 「うふふ、まぁね。ほんの小さなことよ」 「そうか?まぁ、美琴が幸せなら俺は嬉しいぞ」 「ふふっ、ありがと」 にっこり、という表現がそのまま当てはまるような笑顔で、上条の肩に頭を乗せた。 触れ合った所から、お互いの熱を感じる。 体の、心の、芯からじんわりと暖まっていく感覚。 ―――と、 「ふ…にゃあ…」 「ん?どうした?」 ずるっと美琴の頭が肩を滑る感覚があり、上条は隣りに目を向けた。 「お前…眠いのか?」 「うー…昨日あんまりよく眠れなかったから…」 「そうだよな。夜中に起こしちゃったし、その後もあんまり寝付けなかったもんな」 言うと、上条もふわぁぁ、と大あくびをした。 「あ、うつったー」 「えぇ。日本人の特徴でございますよ」 そう言いつつ、また大きなあくびをする。 「当麻も眠くなっちゃったの?」 「そうだなぁ。お前が気持ちよさそうにしてるからうつったんだな」 「じゃあ、お昼寝しよっか?」 「今から?こんな昼間から寝るなんて贅沢な時間の使い方ですなぁ」 いたずらっぽく上条が言うと、美琴はあくびでうるんだ瞳を向け、上目遣い気味に上条を見た。 「ダメ?」 「いや、たまにはこんな贅沢も良いんじゃないか?」 子猫のように、きらきらした目で見上げる美琴が、可愛らしくもおかしく思えて、上条は微笑みを浮かべる。 「やったぁ。あ、パジャマ着るー」 喜びの声を上げた美琴は、朝脱いで畳んでおいたパジャマを取り、脱衣所へノロノロと入って行った。 「お待たせしました」 淡いオレンジのパジャマに身を包み、美琴が戻ってきた。 着替えてる間に少し睡魔が遠のいたようで、足取りは割りとしっかりしている。 「本日2回目のパジャマ姿か。早くも気に入って下さったようで、上条さんは嬉しいですよ」 「うふふ、このパジャマを着てると、当麻に包まれてる気がするの」 満面の笑みで自分の身体を抱き締める。 その表情を見て上条は、心底プレゼントをして良かったと思った。 この少女の笑顔のためなら、どんなことだってしよう、という決意が湧き上がる。 「さて、寝ますか!贅沢な時間をたっぷり楽しみませう」 自分の中で生じた気恥ずかしさを誤魔化すように、上条は早速その場にごろんと横たわった。 もちろんベッドは美琴のために空けてある。 まさか自分がベッドに寝て、大切な彼女を床に寝かせるわけにはいかない。 さて惰眠を貪るとしようと思ったそのとき、自分の服がぴくぴくと引っ張られる感触がした。 「美琴さん?どうしました?」 「あの…ね…一緒がいいな」 「え?あの…?」 「当麻が側にいてくれたら、きっと怖い夢も見ないと思うし…ダメ…かな…?」 昨晩の悪夢を思い返したのか、美琴はやや伏し目がちになっている。 その表情に、上条はついさっき自らに湧き上がった決意を思い返す。 大切な恋人の、笑顔を守る。 「ごめんね、困らせること言って…昨日ダメって言われたばっかりなのに――」 「まったく…仕方ねぇな」 美琴の恐れを含んだ言葉を遮り、上条は立ち上がり、少女の首に左手を回し、右手で膝を抱え上げた。 簡単に言うならば、俗に言う『お姫様だっこ』である。 「え、と、当麻!?」 驚きと照れの混じった声を聞き流し、上条は美琴をそのままベッドへ横たえた。 そして自分もすぐ隣りに体を沈める。 右手は離し、左手はそのまま。 簡単に言うならば、俗に言う『腕枕』である。 「―――!?」 美琴は最早声にならないと言わんばかりに、顔を真っ赤に染めている。 「これでいいんだろ、美琴。お前が安心して眠れるまで、俺が側にいてやるよ」 「当麻…」 「お前が俺のことを大切にしてくれてるように、俺も大切なお前のことを守りたいんだよ」 「―――!!」 美琴の瞳から、雫がこぼれた。 上条はただただ純粋に、あぁ綺麗だな、と思う。 「私…毎日泣いてばかり…」 「ごめんな…?」 「ううん…この涙は、嬉しい涙よ…安心して一緒にいられるのが…幸せ」 「良かった…。お前が幸せなら、俺は幸せだ」 「もう…またそんな恥ずかしいこと言って」 くすっと笑うと、美琴は目を軽く拭い、枕にしている上条の左腕に頬をすり寄せた。 「あったかい…当麻、こうしてて痺れないの?」 「いや、俺もちょっと気になったけど、これがまた全然」 「そっか、良かった」 そう言うと、美琴は腕枕のまま、ぴったりと体を寄せた。 ほんの少し、自分の足を上条のそれと絡めるようにして、全身をくっつけた。 伝わる熱に、上条は一瞬、気恥ずかしさを覚えるが、それよりも少女への愛らしさが上回り、空いていた右腕で美琴の頭をなでる。 美琴は気持ち良さそうに目をつぶり、甘えるような声で口を開いた。 「こうしてると、ぴったり一つになった気分」 「そうだな。頭の位置も丁度良いし、元からこうなるために生まれてきたみたいだな」 「運命の赤い糸ってやつ?」 「一応、幻想殺しのおかげで上条さんに赤い糸は無いと聞いてましたがね」 「そうなの?」 「初めてインデックスに会った頃にな。そんときは、なかなかショックだったんだぜ」 初めて聞く話に、恋する乙女である御坂美琴は、一瞬、寂しそうな表情をした。 しかし、直後に何か閃いたとばかりにその顔を上条の方へ向けた。 「ねぇ、当麻」 「ん?」 「アンタに赤い糸が無いなんて…そんな幻想、私がぶち殺してやるわよ」 少しの照れを含みながら、それでもまっすぐ上条を見つめて言ってのけた。 しかし、当人は何を言われたのか脳内処理に時間がかかったようで、二人きりの部屋に数秒の沈黙が生まれ――― 「ぷっ…あっはっはっはっは―――」 「な、なななな、何よ!私だってたまには気の利いたこと言いたかったのよ!笑うなー笑うなー!」 突然大きな笑い声で沈黙を破った上条に、美琴は真っ赤な顔で叫ぶ。 恥ずかしさで頭の中はいっぱいで、雷撃を出す余裕もないようだ。 「あはははは、ごめんな美琴、ちょっとあまりに予想外すぎて」 「ばかー!ばかー!当麻のばかー!」 ますます顔を赤く染め上げた美琴は、腕枕状態から体を起こし、ぽかぽかと両手で上条の胸を叩き出した。 「私だって恥ずかしかったけど、当麻のこと心配なんだからー!大切なんだからー!」 「すまんすまん、ちょっと衝撃的だっただけだよ」 「知らない知らない!もう当麻のことなんて知らないもん!」 ぷくーっとふくれた顔をそっぽに向ける美琴。 興奮状態だったためか、目には軽く涙が浮かんでいる。 「美琴」 「ふん、何よ。今さら謝っても許してあげないんだからね」 まだ顔は背けたまま、言葉を返す。 そこで上条は、美琴の視界に入らないように手をのばし、美琴の肩を一気に抱き寄せた。 「きゃっ―――」 「美琴、ありがとう。お前はいっつも、俺のことを見ていてくれるんだよな」 「………当たり前じゃない」 上条は再び腕枕をして、美琴を抱き締めた。 二人の心音がとけて混ざっていく感覚。 それが、たまらなく愛しい。 「美琴、ここはお前だけの特等席だよ」 抱き締めている右手で美琴の頭をなでる。 再び美琴は目をつぶり、その幸せな感触に浸ろうとするが、パッと顔を上げ、上条へ向けた。 「だーめ。そんなことじゃ許しません」 心なしか、その顔が赤みを帯びているように見える。 しかし、その目はまっすぐに上条を見つめている。 そのまま顔を寄せ、愛の言葉を囁く。 「ここも―――」 腕枕をしている手に頬を寄せ――― 「ここも―――」 上条の頭に両腕を回し――― 「ここも―――」 唇を重ねた――― 「みんな、私だけの居場所なの」 ある晴れた昼下がり。 ぽかぽか陽気のただよう午後、恋人たちは想いを重ねる。 とある少女のういういdays4―つづく?― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays ―――とある寮の一室 この部屋の主であるツンツン頭の少年と、この部屋の主の恋人である少女はベッドに並んで座り、食後のテレビを見ていた。 中途半端な時間帯であったためか、ちょっとしたニュースや天気予報が流れるだけの退屈な番組で、少女―御坂美琴―は部屋のあちこちに視線をさまよわせていた。 「あら?」 ふとベッドの脇からリボンのようなものがチラチラと見えるのに気が付いた。 美琴は、体をひねってリボン(とそれが付いているもの)を見ようとするが、突然少年―上条当麻―に止められた。 「お、おい美琴ちょいと待っ…!」 慌てた様子に好奇心が喚起される。 ほとんど同居人であるがゆえのジャイアニズムを発揮し、レベル5の電撃使いは音速の3倍のスピード(本人イメージ)でそのブツを掴みとった。 いかにもデパートでプレゼント用の梱包をしてもらいました、という見た目の袋は軽く、中身も柔らかそうだ。 「何これ、誰かにプレゼント?」 「ま、まぁな…」 歯切れの悪い返事に、ピクッと美琴のあるセンサーが反応した。 「ほほぅ…アンタはまたどなたに贈呈物攻撃をなさるおつもりで…?」 「ちょ、ちょっと待て美琴!何かあらぬ誤解があるぞ!ストップビリビリ!ノーモアバチバチ!」 「じゃあ、さっさと吐きなさい!これは一体何なの!?」 久し振りに見る少女の怒号にビクビクしつつ、上条は仄かに顔を赤らめて横に目を逸らした。 「…プレゼントだよ、お前への」 「…え?」 予想外の返答に勢いを殺がれる美琴。 「私に?だって、特に、き、記念日ってわけでもないし、隠す必要だって…」 「あー、すぐ渡すつもりじゃなかったんだよ」 たった今見つかっちゃったけどな、と上条はため息をつく。 「あ、開けてもいい…?」 「仕方ねぇな。元々お前に渡すつもりだったし」 「ありがと!」 先ほどのビリビリモードが嘘のように、美琴は満面の笑みを浮かべている。 包装紙を全く破ることなくテープを剥がして中身を取り出すのは、さすが常磐台のお嬢様といったところか。 「これ…パジャマ…?」 袋の中身を両手で広げる美琴。 それは淡いオレンジを基調とした、肌触りのよいパジャマであった。 控え目ではあるが、ところどころに小さなフリルが付いているのが可愛らしい。 「まぁ…何て言うか、安かったからな」 相変わらず彼は美琴から視線を逸らし、その顔からは照れの表情が見て取れる。 喜びでいっぱいの美琴であったが、その上条の様子を見ていたずら心が芽生えてきた。 「あれあれ~、当麻さんは、お泊まり反対じゃなかったんですか~?」 「まぁ…たまには、と思ってな」 「この間お泊まりしたの、嬉しかったんでしょー」 「うっせえな。…悪いかよ」 「えへへ~えへへ~」 口許を緩ませたまま、美琴は上条の頭をなでる。 いつもとは逆の関係に、上条はぶすーっと口をとがらせる。 「…なんだよ。」 「すーきっ」 全身で上条への好意を表すように、美琴は少年の胸へと飛び込んだ。 「お前、だいぶ変わったよな」 胸にダイブしてきた愛らしい彼女の頭をなでていた上条は、ふと思ったことを口に出す。 「随分と自分の気持ちをまっすぐ出すようになった」 「んー、そうね。楽になるわよ。それに、誤魔化してばかりいたら、こうして心に浮かんできてくれた気持ちに失礼だもの」 美琴は、上条の言葉にまっすぐ返事をするように顔を上げ、その目を閉じて胸に手を当てた。 それを見て上条は、祈りのようだな、なんて思う。 「強いな。さすが常磐台のエース」 そう言って再び、美琴の頭をなでる。 しかし、美琴はいつものように目を閉じて甘えてくることはしなかった。 再びまっすぐな目をして、上条の顔を見つめる。 「違うわよ。これは、ある人に教わったの。私の大切な想い出」 「ある人?誰だ?」 いつもとは違う美琴の仕草に加え、含みのある言葉に、上条の胸の中にわずかなもやもやが広がる。 「分かんないの?」 「あぁ、俺の知ってる人か?」 「そうよー。きっとよーく知ってる人」 「なんだその言い方」 「あ、じゃあヒントね。男の人です!」 なぜか美琴はニヤニヤとした表情を浮かべる。 さっきまで真剣な目をしてたくせに、それがまた上条にはつまらない。 「なんだそれ…全然分からねぇ、降参だ降参」 「うふふ、分かるまでなーいしょ」 美琴は上条の首に手を回して、頭をすり寄せた。 今日は何だか関係がいつもとは逆だ。 「お前、楽しそうだな」 「大切な想い出だもの。ねぇ当麻…?」 「ん?」 「これ…今日使ってもいい…?」 美琴はもらったばかりのパジャマを広げる。 早速かよ、と上条は思うが、心のもやもやが晴れるまで、まだもう少し話をしたい気持ちもある。 「まぁ、いいぞ。寮は大丈夫なのか?」 「有能な人物には有能な秘書がいるものよ」 「そういうものですか」 「そういうものなのです」 お前の側にいるのは、百合脳な秘書じゃねぇか、と言葉にはせずツッコミを入れたのは秘密だ。 「ふー、いいお風呂でしたー」 「おかえり、よく似合ってるじゃないか」 先に入浴を済ませていた上条が美琴を迎える。 風呂上がりということで、ややピンクがかった肌はみずみずしく、茶色い髪と淡いオレンジのパジャマとでバランスよく調和しており、上条は鼓動が高まるのを感じた。 美琴にはああ言ったものの、あのパジャマは、上条がセブンスミストというデパートで、顔から火が出そうになりながら一生懸命に選んだものだった。 なので、実際に美琴が着てくれて、さらにそれが予想以上に似合っているのを見て上条はドキドキ真っ最中なのだ。 「ふぁぁ…」 「っておい!人が珍しく服装を褒めてるのにスルーで欠伸ですか、美琴さん!?」 「ごめんごめん…なんだか体が温まって眠くなっちゃった…」 見ると、少女の目はややトロンとしていて、今なら立ったままでも寝られるぜ、と言われても納得できる。 「確かに、もう遅いし寝るか」 「…そう言いながら何故アンタは風呂場へ行こうとするのかしら?」 「いや…いっつもこう…ってストップ!寝ぼけまなこで照準あやふやの雷撃は控えて下さい!電化製品が死ぬ!」 「アーンーターはー!恋人が泊まってるのに、なんでそういうことが出来るのかしら!?第一、お風呂場びしょびしょでしょーが」 「むぅ…一応、紳士の上条さんは、乙女の寝る部屋で一緒に…というのはちょっと控えたいのですよ」 「恋人同士で一緒に寝るのなんて、別におかしくないじゃない!」 いつもの彼女なら、恥ずかしくて赤面しそうなセリフだが、恐らくこれは怒りのパワーの成せる業である。 「それでもだ。美琴は中学生だし、俺だってまだ高校生だ。やっぱり守るべき常識というか規律はあると思うんだ」 美琴の勢いに負けじと、まっすぐな目で返す上条。 こうなった上条は、なかなか折れない。 まぁ、中学生を部屋に泊めている時点でどうなんだ…という意見もあるのだが。 「……分かったわよ。じゃあせめてベッドの隣りで寝てよ。やっぱり…近くにいて欲しいもの」 「あぁ、分かった」 そう言って上条は手早く床に布団を敷くと、電気消すぞー、と言い、スイッチに手をかけた。 「ホントに早いわね」 「だって眠そうだっただろ。それに早寝早起きは健康にいいぞ」 「それはそうだけど…ムードもへったくれもないわね」 アンタに求めてる時点で間違ってるけどさ、と美琴が続けてる間に部屋の照明は今日の業務を終了した。 あんまりにあっさりとしたお泊りだが、実はこのとき、上条は美琴にドキドキしすぎて理性を押さえるので必死なのだった。 恋人同士それぞれの想いを包み込むように、夜は更けゆく。 数分の後、部屋には二人の寝息が重なっていた。 美琴はふと目を覚ました。 まだ日の出には早いようで、カーテン越しの外は真っ暗だ。 (そっか、私、当麻の家にお泊まりしたんだ) 込み上げる幸せを噛み締め、隣りにいる家主の寝顔を眺めた。 いや、眺めようとした。 ―――が、確かに昨晩美琴のすぐ横にいたはずの少年の姿がない。 トイレかとも思ったが、明かりは点いておらず、物音もしない。 美琴の背中を嫌な汗が流れ、心臓の音がやたら大きく聞こえる。 ハッとして携帯を掴み、上条の名を探すが――― 「無い…!…なんで!?」 登録番号にも着信履歴にも彼の名前は無かった。 まるで世界から大切な人が切り取られてしまったような感覚に襲われる。 「当麻、どこ…?」 あまりに弱々しい声に自分自身が驚く。 そこにはレベル5の姿など、どこにも無かった。 「当麻…当麻…やだ…いなくなっちゃ…やだよぅ…」 がらんどうの部屋に、少女の声がやたらに響く―――。 「…と……こと……」 意識の外から、呼び掛ける声がした。 「…こと……みこと……!」 「う……ん……?」 なかなか開かない目をなんとか開くと、目の前には心配そうな顔で見つめる少年がいた。 不思議と安らぎを覚える自分に気が付くと共に、恐ろしいほどの不安感が胸の底から溢れ出した。 「どうした美琴!どこか痛むのか!?うなされてたみたいだし、どこか悪いのか!?」 「ぐす…とうま…とうま…!」 上条が側にいてくれているにも関わらず、自分の不安は治まる気配がない。 自分の感情をコントロールすることが出来ないことに、さらに心がざわついてしまう。 「…とうま…ぐす…ぐす…」 そのとき、ふっ…と肩や背中に温もりが広がるのを感じた。 抱き締められているのだ、と美琴は後から気付く 「美琴」 ほんの短い響き。 その声を聞いた瞬間、美琴の強張っていた体から、すうっと力が抜けた。 「美琴。俺はここにいるよ」 「………うん」 胸の奥底に、何か暖かいものが広がる感触がした。 上条は自分の夢のことなど知らないはずなのに、テレパシーのように通じ合ったような気がする。 絶えず流れる涙も温もりを宿したようだ。 「当麻…あのね、いま…怖い夢をみたの…。当麻がどこにもいなくなっちゃう夢…」 わずかに落ち着きを取り戻して、美琴がぽつりとこぼした。 その言葉は上条に向かって言っているようで、しかし美琴自身の抱える不安をカタチに表しているように、上条には聞こえた。 「はぁ…。ったく…」 上条は目の前の少女を見て、頭をがりがりとかいた。 「どこへ行ったって、俺が帰ってくる場所はお前のところだよ」 瞬間、ゼロになる二人の距離。 ―――とくん、と美琴の胸が一つ音を立てた。 涙に熱を帯びた顔が、さらに熱くなるのを感じる。 「今まで、何度も寂しい想いをさせたもんな…ごめんな、美琴」 「ううん……ごめんね、当麻…私、こんなに泣き虫で…」 「いいんだよ、美琴。俺の前では、どれだけ泣いてもいいんだ。俺の知らない所でお前が涙を流してるなんて、そっちの方が耐えられない」 上条の腕に抱かれながら、美琴は不安定であった心の芯のようなものが、再び強さを取り戻していくのを感じた。 「それに…俺はもう、お前が側にいないと駄目なんだよ、美琴」 また一つ涙がこぼれる。 しかし、その涙の意味は、恐らく今までとは異なるものが含まれる。 「もう…恥ずかしくないの…?」 少しずつ普段の調子を取り戻し始めた美琴は、照れ隠しも含めて、上条の言い回しについて指摘した。 上条は一瞬驚いた表情をしたが、真剣な顔で考え、ゆっくりと自分の信念を告げる。 「うーん、言いたいんだから仕方ないだろ。俺が俺の想いを押しとどめたら、自分自身にも、この想いを抱かせてくれたお前にも申し訳が立たないしな」 と…、言いながら上条はおや、と思う。 自分の告げた想いであるが、つい最近、しかもごく最近に誰かから似たような言葉を聞いたような気がする。 さらには、先ほどまで目を腫らしていた美琴がなぜか口許を緩め、わずかであるがニヤニヤとした笑みを――― 「あれ…?」 「どうしましたか~、当麻さん?」 昨晩、自分が抱いていたもやもやが、晴れていく感覚。 「あの…ですね、ふと思ったというか、気付いたことがありまして」 「なぁに、当麻?」 いかにも、込み上げる笑みが抑え切れませんという美琴の表情に、上条は確信を抱く。 「昨日の想い出の男の人って…」 「ふふっ…鈍感♪」 再び、恋人同士の唇が重なった。 今宵二度目のくちづけは、いつもより暖かい気がした。 とある少女のういういdays3―つづく?― 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays ―――とある公園 「悪い美琴!待ったか?」 ツンツン頭の少年がベンチに向かって駆け寄ってくる。 いや、正確に言えば、そのベンチに腰掛ける少女に向かって、である。 「ううん、私も今来たところよ」 美琴と呼ばれた少女は、すっと立ち上がり少年に微笑みを向ける。 それは決して社交辞令では見せない、心からの特別な想いを込めた笑顔だ。 しかし、返した言葉にはやや偽りがあった。 彼女は30分以上前からそこで少年を待っていたのだ。 決して彼が定刻に遅れたわけではない。 美琴には、それよりもずっとずっと早く、待ち合わせ場所にいたい気持ちがあったのだ。 つまる話――― 抜けるような青空。 暑すぎない陽気。 緩やかな風。 今日は、格好のデート日和なのだ。 「じゃあ、早速行きますか?」 ウニ頭の少年―上条当麻―が美琴の手をとって歩き出す。 「え?え?当麻!?」 「どうした?」 「あ、あの…手…」 美琴は、普段とは異なる上条の積極的な態度に、顔を赤らめる。 さり気ない行為だったが、彼が外で自分から手をとるなど初めてのことだ。 「あ、あぁ…この間は寂しい想いさせちゃったからな…。落ち着いて二人で出かけるのも久し振りだし。…嫌か?」 上条も決して平常心での行いではない。 積極的にモーションをかけつつも、美琴の顔から目を逸らしており、さらにそこからは明らかに照れが見て取れる。 「嫌じゃない!あ、あのね、当麻…」 「うん?」 「………好き、だよ」 正真正銘、自分のことだけを考えてくれた上条の行為に、美琴は幸福感で満たされた。 自分の正直な想いをまっすぐ伝えるのは、やっぱりまだ恥ずかしい。 だけど、どうしたって今の気持ちを言葉にしたかった。 そんな強い意志のこもった言葉に、上条の胸も喜びに溢れる。 「俺もだよ、美琴。大好きだ」 上条の手が美琴の頭をなでる。 その優しくて、暖かい、自分よりちょっとだけ大きい手から、美琴は深い愛情を感じる。 そして、いつの間にか急接近して、いつの間にか両想いだったと知ったあの頃を思い出しながら上条の胸に自分の身を預けた。 周りには誰もいないが、屋外で抱き合う形となることに上条は焦りを覚える。 「み、美琴?」 「ちょっとだけ…」 ぽかぽか陽気よりも暖かな熱で、二人が繋がる。 「ねぇ」 「何だ?」 「安心するの」 上条は返事の代わりに、美琴の頭に手を回し、ぽすっ、と彼女を抱き寄せた。 (ちょっとくらい、いいか…) 5分ほどして、ありがと、と美琴が言うまで、二人の抱擁は続いた。 美琴の表情がなんだかスッキリしているのを見て、きっと彼女の中で何か引っ掛かっていたものがあったのだろうと上条は推測した。 深く追及はしない。 つい先日、自分たちは離れ合っていた時期があったし、その間に美琴は自分の後輩や妹と大切な話を交わした。 今それらのピースがカチリとはまり合ったのではないかな、と思う。 「当麻、あのね…私、誘いたい人がいるの」 ぎゅータイムの後、さぁ行こうかという時に美琴が言い出した。 美琴がそんな提案をするのは珍しい。 二人きりの時間をとても大切にしている彼女だ、言うからには深い理由があるのだろう。 「美琴がいいなら、俺は構わないぞ」 「うん、ありがと」 そう言うと美琴は、空に向けて人差し指を向けた。 「何してんだ、美琴?」 意外すぎる彼女の行動に、まさか落下型ヒロインが実在したのか、なんて考えが一瞬よぎったが、指差す先の上空にはそんな影はない。 はてな、と首をかしげる上条は、続く美琴の言葉でさらに疑問符を増やす。 「ん~?そうね~、釣り?」 楽しそうに軽やかに言うと、美琴は指先から細く細く雷撃を打ち上げた。 2、3分ほど続けていただろうか、タタタ…と軽い足音と共に少女が現れた。 「お姉様の波長を感じて参りましたが、何か事件でしょうか、とミサカは状況をよく把握できずに困惑します」 走ってきたのか、はぁはぁと軽く肩で呼吸をする彼女は、美琴と同じ服装で、胸には小さなハートのネックレスが揺れている。 以前常備していた暗視ゴーグルは、最近はほとんど見ることがない。 「ね♪釣れたでしょ」 「お前な…」 自慢げに胸を張る美琴に、上条はため息をつく。 緊急事態かと思い駆け付けてくれた御坂妹が不憫である。 「…とりあえず緊急性はないということは分かりました、とミサカは不満を飲み込む大人な対応をします」 「あはは、ごめんね、そんなに急がせるつもりは無かったんだ」 御坂妹は、明らかに不機嫌ですよーというオーラを発していた。 相変わらず表情はほとんど変わらないが、それでも眉が少しだけ吊り上がってる気がする。 「でもさ、これって私たちだけの特別な繋がりじゃない。こういうの、なんだか嬉しくない?」 「なるほど、物は言い様、考え様ですね、とミサカは上手く誤魔化された気がします」 「でしょ!だからたまにはこういうの、良くない?」 「………なんだか雑用のあるたびに呼び出される気がする、とミサカは予測を立てます」 「大丈夫よ、そういうときは当麻に頼むから」 「おいっ、本人の了解はナシですか!?」 二人のやりとりを見ていた上条は、突然の奴隷宣言に異を唱える。 「それでお姉様、何か御用があったのでは、とミサカは流れをぶった切って問い掛けます」 「あれ、またですか?また上条さんはスルーってやつですか!?」 「あぁ、実はね、アンタと一緒に行きたい所があるのよ」 「お姉様と一緒に、ですか、とミサカは期待に胸を膨らませます…まぁ、オリジナル同様に無い胸ですが」 「―――!?アンタ、何言ってんの!!」 「あの…俺のことは…」 「事実を述べたまでですが、とミサカは実はここ2週間で特定部位が育ちつつあるという驚愕の事実を表明します」 「ウソ!?そ、そんな…妹に越されるなんてイヤ!!」 「あ、あの………はぁ…俺、一応主人公なんだよな」 不幸だ、とお決まりのセリフを呟き、しょげる上条であるが、姉妹は突如始まった超重要な言い争いのため、全く意に介さないでいた。 ―――とあるゲームセンター 「さすが第六学区のゲームセンターにある最新型の超立体3Dプリクラ。3人が浮かび上がって見えますね、とミサカは突然の場面転換にも分かりやすい説明をする『出来る女』をアピールします」 「アンタ、誰に話してるの?」 「ちょっとしたファンサービスです、とミサカは似合わないウィンクを飛ばします」 御坂妹の謎セリフの通り、上条たち3人組は第六学区のゲームセンターに来ていた。 もともと、今日はゲーセンに来て新しく入荷されたばかりのゲームで遊ぼうという約束をしていたのだが、目的のゲームよりも先にプリクラを撮ろうと美琴が言い出した。 「…アンタの言うことは時々よく分からないわ…。でも、このプリクラはすごいでしょ!この間佐天さんに聞いたんだけど、結構話題になってるみたいよ」 言いながら、美琴は印刷されたプリクラを手に取り、備え付けのハサミでチョキチョキと切り始めた。 ちなみに、プリクラのフレームイラストはもちろんゲコ太である。(有無を言わさず美琴が決めた) 「当麻、携帯貸して」 「ん?いいけど何するんだ?」 「プリクラと携帯って言えばこれでしょ!」 上条から携帯を受け取ると、電池カバーを取り、その裏にプリクラを貼り付けた。 「なんだか恥ずかしくないか?」 「これくらいみんなやってるわよ」 上条に携帯を返すと、美琴は自分の携帯にも同じようにプリクラを貼り付けた。 よしっ、と呟き、満足気な表情を浮かべる。 そしてもう一人の同行者の方へ顔を向けると、御坂妹は羨ましそうな寂しそうな目で、行為の一部始終を見ていた。 「何そんな顔してるのよ。アンタのだってちゃんとあるわよ」 その言葉を聞いて、御坂妹はさらに悲しそうな表情を浮かべる。 「ミサカは…携帯電話という物を所持していません、とミサカは悲しい事実を」 「んなこと分かってるわよ!」 妹の言葉を遮り、美琴は持っていた鞄から小さな箱を取り出す。 「だから、『アンタのもある』って言ってんの」 小さな箱を開けると、そこには薄いピンク色をした、シンプルな形状の携帯電話があった。 それを取り出し、自分たちと同様にプリクラを貼り、妹に手渡した。 「はい。これで私たちはいつも一緒よ」 優しく声をかける美琴に対して、御坂妹は訳が分からないと言わんばかりの真ん丸な目を向ける。 「どうして…?とミサカは生じた疑問をそのままお姉様にぶつけます」 「だってアンタ、携帯持ってないんでしょ。連絡とりたいときに不便じゃない」 当たり前のことだと言わんばかりの美琴。 決して悪い思いはしないのに、御坂妹は自分でも不思議と強情な態度をとってしまう。 「しかし、呼び出すだけならば先ほどの『釣り』で事が足りるのではありませんか、とミサカは追及します」 「まったく、アンタらしいわ。でもね…さっきは『私たちだけの特別な繋がり』って言ったけど、こういう『普通の繋がり』ってのも、やっぱり大切じゃない?」 どこまでも優しい声。 包まれるような暖かい目。 自分のお姉様は、どうしてこんなにも、自分のことを想ってくれるのだろう。 ぽたっ 気が付いたときには、雫がこぼれていた。 嬉しいとも、楽しいとも、なんだか違う、胸の奥がじんわりと熱くなる気持ちで満ちていく。 ここのところ、自分の中にある何かが自分の思惑を外れることが多い気がする。 あの少年のことを考えるときだって、心臓のあたりに異変が起きる。 そして今回の変化は、それとはまた異なる。 「ありがとうございます、とミサカは新しい感情に困惑しながら感謝の気持ちを伝えます」 「そんな特別なことはしてないわよ…アンタは、大切な…か、家族なんだから、これくらい当たり前でしょ」 姉が妹にハンカチを差し出す。 そんな光景を見て、家族っていいなぁ…なんて上条は思う。 思うと同時に、記憶はなくとも、そういった感情が無くなっていないことに安心感を覚える。 「ありがとうな、二人とも」 気付いたときには、感謝の気持ちを言葉にして二人の頭をなでていた。 家族の有り難みという、恐らくは普通の感情を思い出させてくれたことが上条は嬉しかったのだ。 頭をなでられた二人は、突然の少年の行為に顔を真っ赤にして俯く。 さすが姉妹、その動きはぴたりと揃っていた。 そしてお互いに同じ表情を浮かべていることに気付き、はっと思考を切り替える。 …なるほど。 …これが歩く自動フラグメイカー。 帯電する空気。 文字通り空気が変わったことに硬直する上条。 「あ、あれ、ここって感動的なシーンじゃありませんこと?ってゆーかダブルビリビリなんてしたら上条さんは防ぎきれない、ってゆーか周り電気製品ばっかり!壊したら弁償間違いなしですよ!最新型プリクラとか絶対高いし!ストップ!ストップ!ストォォォォォォップ!!」 制止の甲斐あってか、少女たちは雷撃を放つことはやめた。 しかし結局のところ、お姉様あれを使うわと、スーパーイナズマキックをお見舞いされるのは、彼の彼たる所以か。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays 「さぁて、これよこれ!これが目当てで来たんだから!」 プリクラを撮り、上条達はあるゲームの筐体の前に立っている。 そこには――― 「大乱闘ストリートファイターズスピリッツ?」 何やら物々しいようで中身のない名前が書いてあった。 画面の中でキャラクター達が素早く動き回り、さらにビシィ!バシィ!という音が聞こえてくる。 物騒なタイトルよろしく、一般的に『格ゲー』と呼ばれるジャンルのものらしい。 しかし、その筐体に描かれているキャラクター達は、そのタイトルに反して人畜無害を絵に描いたようなおとなしいイラストだ。 そして緑色。 「って、またゲコ太かよ!」 「何よ!悪い!?」 「いや、別に上条さんは不満があるわけではないのですがね…」 上条はゲームのタイトルとキャラクターとのあまりのギャップに、どうツッコミを入れていいか迷う。 その迷いを表しているかのように、新作のはずのこの筐体の周りにはほとんど人がいない。 「なぁ、御坂妹。これって製作会社的には採算とれんのか?やりたがるヤツがそんな沢山いるとも思えないし…」 「いや、恐らくこれは、ここにのみ設置された、言わばお姉様専用機…!とミサカはピキーンと脳内に電波を走らせながら予測を立てます」 なるほどな、と上条は呟く。 1回100円のゲームが採算をとるのに1台あたり100回分の収入が必要だとして、それはイコール100人に来てもらわねばならない、というわけではない。 極端な話、1人でも100回プレイしてくれる人がいれば良い。 そしてこの少女は…もしかしたら…やりかねない。 「ねぇねぇ当麻、早速やりましょうよ!お金は私が出すからさ!私ピョン子使おっかな~」 「強引だなぁ…。ま、いっか。伝説の遊び人、Mr.青ピより伝授された格ゲー戦闘術を見せてやるぜ!」 シュピーンという電子音と共に画面が切り替わる。 キャラ選択を終え、恋人同士二人の戦いが始まった―――! 「な…一応ゲコ太って主人公キャラだよな…?」 「ふふーん、ゲコ太達への愛でアンタが私に勝とうなど、1000年早いのよ!」 「いや、そこは競ってないけどな…」 画面には『88コンボ!』という文字と『1P パーフェクト』という文字が映し出されている。 この1Pとは、もちろん美琴のことである。 初戦で思いっきり敗れた上条は同じゲコ太を使って再戦を申し込み続けた。 主役キャラであるゲコ太ならば、ある程度のバランスがとれたオールマイティキャラであり、慣れれば一定以上の成果を上げることができると踏んだのだ。 しかし、二人の差は近付くどころか上条がボロボロにされるばっかりだった。 試合数も2桁を超えようとする今のバトルでも、美琴の操る『野生ノ本能ヲ取リ戻シタ黒ゲコ太』なるキャラに終始翻弄され続け、ついに一撃も入れることなくKOされてしまった。 「ちくしょー、せめて1回くらいは勝たせてくれたって良いじゃないか」 「甘いわよ当麻、勝負は非情なの。ライオンだって狩りのときウサギ相手でも全力を出すと言うわ」 「いや、なんかスケールがでかい話になってないか!?っていうかライオンの棲む所にウサギって棲息してるのか?」 ムキになって再挑戦をしまくっていた上条であったが、完封負けにより集中力を完全に切らしてしまった。 瞬きも忘れていたらしく、目の疲れを感じる。 ふーっと息をついたところで、自分の真横にすっと動く影を感じた。 「ん?おぅ、御坂妹か。すまん、なんだか放っておいちゃったな…」 筐体のイスから立ち上がり、伸びをする。 一点を見つめ続けるというのは、目だけではなく背中にも負担がかかるようだ。 そんな上条を見ながら、今度は御坂妹が筐体の前に腰を下ろした。 「あれ、お前、ゲームとかできるのか?」 「いえ、ミサカは見るのも初めてです。…しかし、あなたの敵討ちをします、とミサカはお姉様へ挑戦状を叩き付けます」 少女はビシィッと人差し指を姉に向けた。 意外な行動に美琴は一瞬ぽかんとするが、すぐにニヤリとした笑みを返す。 「良い度胸じゃない!悪いけど妹だからって勝負事に手は抜かないわよ!」 「望む所です。負けて吠え面かくなよ、とミサカは最近テレビで覚えた言葉を使ってみます…!」 奇しくも選んだキャラクターは同じ。 画面の中で、外で、同じ容姿の二人が戦いを始める。 戦いの火蓋は、レディー、ファイトという電子音声によって切って落とされた―――! 結論から言うと、美琴は全く手加減しなかった。 初手こそ小手調べだと言わんばかりに威力の低い遠距離攻撃を仕掛けたが、妹の操るキャラクターがそれを軽やかに躱し、その動きのままに反撃を試みると、真剣な顔をしてレバーやボタンをガチャガチャと素早く操作した。 その操作に合わせて、画面内のキャラはフェイントを織り交ぜた圧倒的な攻めを見せる。 地上をダッシュしたかと思えば、すかさず跳び上がって空中から蹴りを放ち、防がれれば、それが目的だと言うかのように投げ動作に入った。 それを見て上条は、自分が手加減されていたのだと気が付く。 それくらい今の美琴は本気なのだ。 しかし、 「―――、なんで!?」 美琴の凄まじい猛攻は、御坂妹の操るキャラクターに全くクリーンヒットしていない。 ある時は防がれ、ある時は捌かれ、ある時は躱され、さらには、カウンターまで受けた。 常に次の思考を読まれている気がする。 徐々に追い込まれていく美琴は、逆転の一手として複雑なコマンドを入力した。 必殺奥義と呼ばれるダメージの大きい特殊コマンドだ。 瞬間、ゲーム画面が暗転し、美琴の操るキャラが光に包まれる。 そしてその光を収束させるようにして相手に放出、叩き付けた。 「いっけぇぇぇぇ!」 「―――!」 思わず声を上げる美琴に対し、御坂妹は静かに素早くレバーとボタンを操作した。 それに応じて中のキャラクターも光に包まれる。 放たれた光線は、美琴側のキャラの必殺奥義とぶつかりあい、相殺された。 「なっ!?」 驚きを隠せない美琴だったが、クールビューティたる御坂妹はそれを見逃さない。 一瞬で懐に潜り込み、連打を叩き込んだ。 美琴側の体力ゲージが一気に減り、それがゼロになると、妹側の画面に『YOU WIN』という文字が表示された。 試合終了である。 「アンタ…本当に初めてなの?」 真剣試合の後、ジュースを片手に美琴が尋ねた。 上条と同様に目に疲労を感じるらしく、冷えた缶を目に軽く当てたりしている。 「先ほども言った通り、見るのも初めてですよ、このミサカは、とミサカは含みのある言い方をします」 「ん?『この』ミサカ?」 不思議な表現に首をかしげる上条。 対して美琴は、心当たりがあるのか険しい表情を浮かべた。 「はい、ミサカはネットワークによって様々な経験値を共有できるのです。実はこのゲームも隠しエンディングまで行った他のミサカがいて…」 「やっぱりね…そんなことかと思ったわよ!インチキじゃない!」 妹の言葉を遮り、美琴は興奮した声を上げた。 だが、妹の表情は冷静さを失わない。 「大人気ないですよお姉様、手加減ナシと言ったのはお姉様じゃありませんか、とミサカは胸を張りつつ、そうですよねと同意を求めます」 御坂妹は反論しながら、上条のへと顔を向けた。 正直、二人のやり取りに着いていけていない上条は、うーん…と呟きを漏らす。 「まぁ…ズルいとかはよく分かんねぇけど、美琴に勝つなんてすごいな」 「ありがとうございます、とミサカはさりげなく腕にむぎゅっと抱き付きます」 全然さりげなくない突然の御坂妹のアタックに、恋人たちはお互いに固まった。 二人とも顔が赤いが、恐らくそれが意味する感情は異なる。 そして、怒りの感情を込めた一人が口を開く。 「何やってんのアンタ!?と、当麻は私の…こ、こ、こいび…」 「お姉様は失恋と言いませんでしたから」 恥ずかしいセリフを言い切れない美琴の言葉を遮り、妹は自分の行いの正当性をさらりと主張してのけた。 瞬間、美琴は先日の公園でのやり取りを思い出す。 確かに美琴は、妹の『これが失恋か』という問いに何も言葉を返すことが出来なかった。 が、だからといって、目の前の行為は許し難い。 「あ、アンタにはさっき携帯とプリクラあげたじゃない!あのときの感謝の気持ちは何だったのよ!?」 「ふふふ、別に頼んだわけじゃありません、あのときはあのとき、今は今、とミサカは口喧嘩の常套句を口にします」 「こ…この恩知らずがー!」 ピクピクと青筋を浮かべた美琴の周囲の空気から、バチバチという破裂音が聞こえてくる。 「きゃー、こわいお姉様がいじめるー、たすけてー、とミサカはどさくさに紛れて隙だらけのボディーに抱き付いてみます」 御坂妹は完全な棒読みでまくし立てながら、相変わらず固まりっ放しの上条の胸にぎゅーっとしがみついた。 エスカレートする妹の行為に、美琴は唖然として口をパクパクさせる。 あまりのショックに雷撃のコントロールを失い、ビリビリが空気中に霧散した。 「あ、あ、あーっ!!アンタ何やってんの!?…って、当麻も何か言いなさいよ!」 「う…まぁまぁ、姉妹仲良くな」 固まり続けていた上条は、この争いを何とか鎮めようとするが、歯切れの悪い物言いに、美琴のボルテージはさらに上昇する。 「な…何よそれ、バカ当麻!………あーもう、それじゃあ…!」 怒りに興奮し、顔を上気させた美琴は、妹の反対側から自分の恋人の胸に腕を回し、思いっきり抱き締めた。 いつもより強く。 上条に自分の僅かばかりの膨らみを押し付けるように。 もちろん上条もそれに気付き、一気に顔を赤らめて体を硬直させる。 「な、何をなさってるんですか、美琴サン!?」 「べ、別に良いじゃない!私たちは、こ、恋人同士なんだから!」 妹に対抗して上条にアプローチをかけるが、恥ずかしさから早口になるのを押さえられない。 と、美琴は妹の表情が僅かだが確実に変化したのに気付いた。 寂しそうで、悲しそうで、羨ましそうな顔。 (―――!) それで美琴はある考えに至る。 目の前にいる妹は、先ほどから『失恋とは言わなかった』とか、『お姉様が怖い』とか、何かと理由を付けて上条に近付いている。 それはつまり、彼女なりの『言い訳』なのではないだろうか。 自分は特別な存在ではないから、上条には御坂美琴という恋人がいるから、そんな理由に対抗するための口実。 恋人である自分にはある程度自然にできる行為、それが妹には特別な理由なしには出来ない。 (何がさりげなく、よ…) 同じDNAのらせんを持つ身である。 自分の考えが大きく外れているとは思わなかった。 つまり、逆の立場ならきっとそうしていたかもしれない、ということだ。 (何がどさくさに紛れて、よ…) 自分の胸の中で、何かが形になっていく。 苛立ちのようで、深い愛情のような、大きな気持ち。 (いい加減に『その自分自身』の想いを受け入れなさい…!) 深い呼吸を一つ、決心はついた。 美琴は目の前の妹を見やり、自分たちが抱き付いている上条をまっすぐに見つめる。 「ねぇ、当麻、さっき姉妹仲良くしろって言ったでしょ」 「お、おう」 二人の少女から抱き付かれるという状況にカチカチになっていた上条だったが、なんとか返事をする。 「あのね…わ、私もこの子も、姉妹仲良く…アンタのことが好きなのよ」 途切れながらも、美琴は力強く言い放った。 その言葉に上条だけでなく、御坂妹もビクッと反応した。 「お姉、様…?」 恐らく自分の姉は、今まで自分が必要以上に上条に近付くことをあまり快く思っていなかった。 なのに、今、彼女は自分が伝えたくとも秘め続けてきた想いを口にしてしまった。 確かに現実として美琴と上条は恋人同士である。 だが、今の一言で、お姉様は第三者であった自分を一気にライバルの座にまで引き揚げてしまったことになる。 「どうして…、とミサカは生じた疑問を口にします」 「私だって、自分の想いがいつまでも一方通行なのはツラいってよく知ってるもの…だけど…当麻は私のものなんだからね!アンタにだって渡さないから!」 真剣な目。 もう美琴は自分のことを対等なライバルだと見ている。 それが嬉しくて…一瞬だけ微笑みを浮かべられた気がする。 「宣戦布告として受け入れましょう、とミサカは現在の戦況が芳しくないことを理解しながらその闘志を燃やします」 だから、胸を張って堂々と姉の目を見返した。 あらゆる感謝、畏敬の念、それら全てをすっ飛ばして、今自分は彼女と真正面から向き合っている。 「あの…俺の立場は…」 ダブルの愛の告白を受けて嬉しさ半分、困惑半分の上条であるが、状況が特殊すぎてどんな顔をしていいか分からない。 そもそも、二人の少女が自分を抱き締めながらライバル宣言をする状況なんて、どんな恋のハウツー本にも載っていまい。 そんな上条へ、早速姉妹のライバル対決の火の粉がふりかかってきた。 「ねぇ、当麻、前に病院で手作りクッキーが欲しいって言ってたわよね?今度、美味しいクッキー焼くから、ピクニックデートしましょ!私たち恋人同士だもの♪」 抱き締める腕を決して緩めずに、上条を振り向かせる美琴。 「それでは私は怪我や疲労の多いあなたに、能力を使ったビリビリマッサージをプレゼントしましょう、とミサカは積極的にも濃厚な身体接触を目論みます」 対する御坂妹はクールな口調の中に、僅かばかりの恥じらいを含ませる。 本の少し上気する頬が目を引く。 上条はドキッと心臓が高鳴るを感じたが、今の御坂妹の発言には美琴も敏感に反応した。 「は!?身体…接触…って…ちょ、ちょっとアンタ何言って…」 「お姉様、恋愛とは引いた者の負けなのです、とミサカは先日週刊誌から得た知識をひけらかします」 「え…そ、そうなの…?でも…う…じゃ、じゃあ…」 妹の一歩進んだ(?)恋愛知識に、もじもじする美琴。 真っ赤な顔は、自分の中で羞恥心と戦っていることの表れか。 しかし、その争いにも決着がついたらしく、うるうるした瞳で上目遣い気味に上条を見る。 「と、当麻?あのね…わ、私が当麻を気持ち良くしてあげる…」 「「ぶっ!?」」 突然のトンデモ発言に、上条と御坂妹はシンクロして噴き出す。 妹は、これがオリジナルの攻撃力というわけですか…、なんてゴニョゴニョと呟き、上条は全く言葉を失い、真っ赤な顔で口をあんぐりと開いている。 (お、おお、おおおお落ち着け俺!今のはアレだ、言い方はアレだけど、御坂妹のビリビリマッサージに対抗しただけで、他意はない…はずだ!いや、他意があっても全然構わな…って何想像してるんだ、相手はまだ中学生だぞ!でも美琴の目、吸い込まれそうに綺麗だ…じゃなくて!ってゆーかレベル5のビリビリマッサージって俺死ぬんじゃね?) 一瞬で走馬灯のように様々な妄想が自分の中を駆け抜け、その幻想たちを何とか押さえて平常心を取り戻そうとする。 と、目の前の少女たちの変化に気が付いた。 何やら、二人がこちらを見てる。 自分の顔を見ているというか、顔の一部を凝視しているような――― ぽたっ 上条の右手に赤い点が現れた。 出所は、自分の顔の真ん中あたり。 つまり、鼻血が垂れているのである。 ―――と、そこで彼女たちのジトーっとした眼差しの意味するものに気が付く。 「い、いやですね、これはその、別に美琴さんに対して劣情を抱いたとかいうわけではなく、だからといって美琴さんの魅力が不足しているなんて言うわけもなく、何て言いますか、ワタクシの想像力がちょっとだけ豊かだったというか…」 「「不潔…(とミサカは男は狼なのよ、なんて言い古されたフレーズを口にします)」」 しどろもどろで言い訳を口にする上条を、見事なシンクロ率を誇るダブル御坂は、たった一言で真っ二つに切り捨てる。 「………ふ、不幸だ…」 息ぴったりな姉妹の精神攻撃を受けて、なんとか吐き出したセリフは、クラスメイトの耳に入れば大乱闘間違いなしの、お決まりのものであった。 ―――とある病院の前 「今日は楽しかったわよ!付き合ってくれてありがとね」 美琴は目の前にいる妹に笑顔を向けた。 日は傾き始め、夕陽が病院の白い壁をオレンジに染めている。 視線の先には、ライバルである御坂妹。 自分の隣りには、恋人である上条当麻。 これが今の自分と妹の差なのかもしれない。 そのことで優越感に浸るつもりはないが、それでも、自分は幸せ者なんだと再確認する。 「お姉様、今日はありがとうございました、とミサカは新しい繋がりに感謝します」 今日プレゼントしたばかりの携帯電話を手にして、妹は大切そうに胸に当てる。 電池カバーの中では3人が笑顔を浮かべている。 妹がその胸に抱き締めているのは誰なのだろうか。 特定の誰かのような気がするし、3人みんなのような気もする。 別に答えが欲しいわけじゃない。 ただ、これからもずっと、上条だけじゃなくて妹も一緒にいたいな、そう思った。 今度はセブンスミストで二人で服を選ぶのもいいかもしれない。 ちょっとお茶でもしながら、女の子の会話を楽しむのもいい。 だから、 「またね」 さよならでも、ばいばいでもない、未来に続く言葉と共に、今日の楽しかった一日を締めくくる。 手を振り返す妹も、いつもより優しい笑顔な気がした。 とある少女のういういdays6―つづく― 前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少女のういういdays
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戻る カオス・その他系 イイハナシダナー(;∀;) -- (名無しさん) 2010-04-01 17 22 13 池沼ネタなのになぜか知的になれるスレですね -- (名無しさん) 2010-04-07 22 28 02 なんか良い話になっとるwwwww -- (名無しさん) 2010-05-12 23 39 58 なんという裏切りの展開… -- (名無しさん) 2010-06-22 22 36 38 痛い遺体異体wwwww -- (名無しさん) 2010-07-02 01 35 14 献上者?健常者のことやんな? -- (名無しさん) 2010-07-02 03 38 09 憂がブッタ仏陀wwwwww ←これは反則だろ -- (名無しさん) 2010-07-02 08 55 03 不覚にも感動した。 -- (名無しさん) 2010-08-12 07 28 14 なんだかんだで良い話。 -- (通りすがり) 2010-08-12 11 37 43 まあハンディ持ってる人が「健常者」とか言うのもある意味差別だけどな -- (名無しさん) 2010-09-02 00 37 52 一番最後のはなに? -- (名無しさん) 2010-09-02 08 18 14 凄いインテリジェンスだなw 池沼ネタは不愉快だが、これはイケてる -- (名無しさん) 2010-09-29 13 59 48 勉強になった。 唯の言ってることは間違ってない -- (名無しさん) 2010-10-03 22 55 43 うんたんうんたんwwwwwwww -- (名無しさん) 2010-10-24 09 38 47 考えさせられるな。 例えば目が見えないという状態が当たり前の社会なら点字ブロックや音響信号機が普通の風景になるなどの変化が起こって、ともかく全く異なった進歩や文化がはぐくまれたのだろうか。 知的障害も、その能力を顕在できる教育が整備されればリアルに変わってくるかもな。あいつらが庇護されるべき対象になっているのは、社会にもその原因があるように感じた。 -- (名無しさん) 2010-12-06 21 39 47 勉強になったよ! -- (名無しさん) 2010-12-22 13 01 17 うん。他のコメにもあるけど考えさせられる話だな -- (名無しさん) 2011-01-20 00 30 31 唯の言っていることが俺には難しすぎて理解できなかった。 -- (レアメタル) 2011-04-21 00 36 55 いい話…なんだろうけど、 梓が唯を邪魔者として 施設に追いやろうとしてるように見える… 憂のためって言ってることも腹立つ -- (名無しさん) 2011-07-22 11 35 54 ↓確かに。 さらに付け加えると梓は憂を説得するために「憂のため」って言い続けてるうちにいつしか自分でも本当に憂のためにしてることだと思い込んでいったんだと思う。 憂の決意を聞いて泣いてるところとか考えると。 -- (名無しさん) 2011-07-23 10 06 09 池沼たちの呻き声wwwwww 「ぎょもももwwww」じゃねぇよwwww -- (名無しさん) 2011-07-23 22 33 33 UZEEEEEE!((((;゚Д゚))))))) -- (あずにゃん) 2011-07-31 02 41 55 うぜー -- (名無しさん) 2011-10-03 03 42 00 池上(彰)設定だろ -- (名無しさん) 2012-02-05 20 00 30 これは執事だろ 池沼は百合ではアカン -- (名無しさん) 2012-03-10 18 53 51 妹の幸せ云々のところでなきかけた -- (名無しさん) 2012-03-10 19 56 15 これはおもろい、。 -- (名無しさん) 2012-03-10 22 59 00 唯ちゃん優しい -- (名無しさん) 2012-04-06 06 53 30 「ぎょもももwwwww」クソワロタwwwwwwwwww -- (名無しさん) 2012-05-24 17 23 22 通常唯より博学じゃないか -- (名無しさん) 2012-05-24 19 04 30 これは福祉関係のステマ -- (名無しさん) 2012-07-05 21 13 30 普段の唯より博学だな 池沼はその反動か -- (名無しさん) 2012-08-26 18 28 26 偉そうなこと言ってるけどなら自分一人で生きてみろよ、と思ったのが本音 -- (名無しさん) 2012-09-05 07 50 54 唯はどんな唯でもかわいいと言うことがわかった -- (名無し) 2012-09-05 12 19 09 珍しく面白い池沼ネタ だが唯に謝れよ梓 -- (名無しさん) 2012-10-01 09 59 44 これアスペルガーとは別物? -- (名無しさん) 2012-10-01 19 33 30 じっくりセリフ読むとかなり面白い -- (名無しさん) 2012-10-02 00 39 18 ↓↓↓↓↓ヒキニーのお前が言うな -- (名無しさん) 2013-08-08 09 58 56 なんだステマか -- (名無しさん) 2013-08-26 16 48 07 この唯ちゃんは偏差値が本物より高そうだな -- (名無しさん) 2013-12-31 12 13 47 博学な唯にワロタ -- (名無しさん) 2015-12-05 22 59 00 なんだこれはwwwwwww なんだこれは・・・ -- (名無しさん) 2019-02-21 22 50 50